ミッケくんがドコノモリにいつ頃来たのか、誰も知りません。
何日も何日もミッケくんの姿が見えないことがありますし、ドコノモリでは見かけない物を持っていることもあります。
ドコノモリの外まで探検に行っているのかも知れませんね。
でも、ミッケくんに質問してもだめですよ。
ニヤッと笑ってはぐらかされてしまいますから。
さてさて、ミッケくんは自分のおうちにしている木の洞の外に「みせ」という看板をだしました。
「みせ?」
「何を売っているの?」と聞かれたミッケくんは
「ぼくが売りたいものを売ります。明日、見に来てください。」と言いました。
さあ、みんな楽しみにして、その晩はそれぞれお金づくりに励みました。
ドコノモリで使えるお金は葉っぱです。
使う人がつくるんですよ。
松の針で葉っぱに小さな穴をあけて模様を作ります。
使用期限は1日だけ。ためたりできません。
ためておくと腐りますから、たいていお金をもらった人は捨ててしまいます。
・・・あ、それを虫が拾っていくのです。
虫のおうちの部屋飾りに、ちょうどいいとのことです。
お月さまやおてんとうさまの光で模様が透けて見えてとってもきれいなんだそうです。
虫のおかあさんたちはおおよろこびします。
さて次の朝、ドコノモリの仲間たちはごはんをたべたあと、大いそぎでミッケくんのお店へと出かけました。
お店は木の洞の中ではなくて、外に品物を並べてありました。
ミッケくんは窓から顔を出して「いらっしゃいませ!」と言ってニヤッとしました。
大きな朴の葉っぱが敷きつめられた上に品物が並んでいます。
山鳥の長い尾羽根や、短い羽根でつくったほうき、火打ち石、水晶、黒曜石、ろう石、木の枝を輪切りにしてつくったおはじき、等々。
とりたての粘土もありました。
「おおー」とグーヨが言いました。
「土笛ができるなぁ。」
タバールさんはクロモジのようじを手にしました。
「歯のおそうじに良さそうだ!」
肉桂の皮もありました。
みんなニコニコして、甘い肉桂の皮をしゃぶりながら見て回りました。
石ころが沢山並んでいます。
じっと見ていたプーニャが「あら?」
「あらら?」とびっくりした声をあげました。
「この石、誰かに似てる!」
「プーニャだ!」皆が言いました。
「これはチコちゃんだ。」
「あ、パンニプッケルさんもあるよ。」
「これは・・・?」
「浮き山さんのぼんぼんだあ!」
皆あんまりそっくりなので大笑いしました。
ミッケくんのお店の品物は、皆がいっぱい買ったのでほとんどなくなってしまいました。
ミッケくんはお店のかたづけをしながら、浮き山さんのぼんぼんに似ている石をを眺めて、浮き山さんにあげたいなと思いました。」
「これ、浮き山さんに持って行ってあげよう!」
「うん、きっと喜ぶよ!」皆、にこにこして言いました。
「遠いから、一晩キャンプしようかな?」とミッケくん。
「わー!キャンプ?!」
「いきたーい!」「一緒にいこうー!」と大さわぎになりました。
そして、ドコノモリの仲間たちはミッケくんと一緒に浮き山さんの登り口まで出かけることにしました。
2013.5.6(第5回)
つづく
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