冬のおとずれ

 

満月の晩、月の光に照らされて 雲が青黒い群れとなって
一面に拡がっていました。
それは羊の群れのようにも 北の海に漂う流氷の一団のようにも
みえました。

夜空がこのような姿をみせると、もうじき私たちのすむ所に雪が
ふり始めます。
或る朝、いつもより静かな気配に気付きとび起きると、
雪が はらはらと はらはらと 終わりのない夢のように
世界を白くしていました。

白い世界の中で 大人は忘れかけた夢を思い出し
子どもは 夢の続きを夢見ます。
雪だるまと共に

「寒くはないのですか?」と 子どもが雪だるまに尋ねました。

雪だるまは笑っています。
「あったかい手で、笑い声がはじける中で、
私は生まれたのだよ。
寒くなんかないさ。」

雪だるまの笑顔と
子どもの笑い声が
はらはらと はらはらと
記憶の雪野原に ふりつもります。

冬のおとずれ” に1件のフィードバックがあります

  1. kakko

    寒中お見舞い申し上げます。
     そちらは、すっぽりと白い世界ですか?
    鉄もいなくなり、山都の街はすこし静かになったことでしょう。
     そうそう、思いがけず年賀状を頂き、ありがとうございました。
    真知子さんやご主人さまはいったいどれくらいの人に年賀状を書かれるのか、想像しただけでも気が遠くなりそうです。
    自分はMailで済ませるくせに、手書きで頂く年賀状はとっても嬉しいですね。
    心があったかくなりますよ。
    また、お逢いしましょうね。細くても長ーいご縁になりますように。

    返信

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