緑の葉が勢いを増してくる季節でした。
ドコノモリを駆け抜けて行く風は笑いながら若い葉を揺さぶるのでした。
或る日、プーニャとチコちゃんは「いのちのわくところ」へ、ヤーヤに会いに行くことにしました。
ドコノモリの中には特別な場所がいくつかあって、「いのちのわくところ」もそのうちのひとつなのです。
前の日に降った雨がやんで、朝早くから晴れているような時、ヤーヤに会えるのです。
「いのちのわくところ」は、まわりを背の低い雑木林に囲まれた、小さな広場のような所でした。
陽の光は広場全体にふり注ぎ、やわらかな草が朝露にぬれ、花が咲き、空気は濃くて、吸い込むと胸の中まで緑に染まるような気がしました。
プーニャとチコちゃんは、ヤーヤがどこにいるのかと、ゆっくりとまわりを見ていました。
オルゴールが鳴るような音が聞こえてきます。
音のする方へ行ってみると、地面から小さなヤーヤが生まれてくるところでした。
次から次へヤーヤが生まれてきます。
ヤーヤは沢山集まって、組み体操のように色々な形をつくって遊びだしました。
ヤーヤは遊びながら声を出していました。
さっき聞いたオルゴールの鳴るような音は、ヤーヤの声だったのです。
ヤーヤがつくりだす形は、どこかで見たことがあるような、何かを連想させるものでした。
なんだろう・・・とプーニャは思いました。
何か別の・・・生き物の姿のような気がしました。
なんだろう・・・と思っているうちに、次々と色々な形が出来、それが崩れ・・・・プーニャとチコちゃんは、いつのまにか時間が溶けてしまったように、ぼうっとヤーヤを見ていました。
やがて、ヤーヤの声が止み、ヤーヤは色のついた光の粒々となって四方へ飛んで行きました。
ヤーヤの一生が終わったのでした。
草むらに寝ころぶと、かすかにオルゴールが鳴る音が聞こえます。
ヤーヤは姿がなくなったけれど、光の粒々となってあちこちにいるのでした。
プーニャとチコちゃんは、光の粒々を見ていました。
光の粒々は、時々集まって何かの姿となり、また散らばって行きました。
沢山の光の粒々は、いのちの粒でした。
いのちの粒が、思い出を歌っていました。
集まっては思い出が甦り、又消えて行きました。
まわりの木からも、花からも、光の粒が舞いあがっていました。
次から次へ数えきれない程の光の粒が生まれ、小さな広場に満ちていました。
いのちのわくところは、花も木も草もヤーヤも、そしてプーニャもチコちゃんも、全てが光の粒々だったことを思い出す所でもありました。
プーニャはじっとすわりこんで、昔のことを思い出していました。
遠い遠い昔のことを。
そう、プーニャは昔、風船だったのですね。
プーニャの眼には、まっ青な空が映っていました。
帰り道、プーニャとチコちゃんはいつもよりゆっくりと足元を見ながら歩いていきました。
「あのね、私ね、空からはしごを伝っておりてきたの。」とチコちゃんはプーニャに言いました。
「おやおや・・・。こわくなかったの?」
「全然!私。 ここへ来たかったのだもの!」
「ふーん。」
ふたりはちょっと黙ってから、にっこりわらいました。
「私もよ」とプーニャが言いました。
その時どこかで誰かが泣いているような声がしました。
プーニャとチコちゃんは顔を見合わせ、急いで声のする方へ走り出しました。
(つづく)第7回
無事コメントできたでしょうか?三育フーズ、グルテンのフライとともに大ヒットだったのが、ベビーリング(ベビークッキー)。べびーではない中学頃までバクバク食ってました。
飯塚豊弓さん、コメントありがとうございます。
今日は、初ベビーちゃんを連れてお訪ねいただき、うれしくありがたく重ねてお礼申し上げます。
新しいいのち、光っていましたね。
小さくて弱い・・・?!なんてとんでもないですね。
神々しく力強い、それが赤ちゃんに対する私の率直なイメージです。
元気をいただいたような気がします。