誰も通らない黄昏時の道
静かに夏の雨が降っている
畑も向かいの山も
ゆるやかに色を失い
眠りの時を迎えようとしている
誰も通らない黄昏時の道は
あちらから来て 向こうまで
長い川のように続いている
熱い道の上に
夏の雨が降る
谷間を流れる川のように
道は黒々と深々と
向こうまで続いていく
思い出したように 蛙が鳴き始めた
生まれてきたことを
生きていることを
思い出したように
誰も通らない黄昏時の道の先に
細いひと筋の道をつけるのは
一匹の蛙?
野の兎?
二足歩行の幼い子たち?
そうでありますように
そうなりますように