そもそも始まりは何だったのでしょう。
風船は、風船らしく、空を気ままに漂えば良かったものを。風船は、ある日、空から降りたくなったのです。
風船は、風船らしく、空を気ままに漂えば良かったものを。風船は、ある日、空から降りたくなったのです。
オレンジ色に山が輝いていました。
空は、最後の陽の光で眩しいくらいでした。
夕闇が拡がる時刻が近づいています。
その時、一瞬、赤い葉を沢山つけている樹が見えました。
森の湖には森の姿が映っていました。
空からは見えないけれど、小さいものがいるような気が、風船にはしました。
空からは聞こえないけれど、小さいものの声がするような気がしました。
行ってみよう・・・と、風船は思ったのです。
空から降りた所は、森の入り口でした。
赤い実をつけた茨が、鋭いトゲをピカピカさせて通せんぼをしていました。
風船は上がったり、下がったり。
抜け道はないかなーと。
風船は、ため息をつきました。
何度も何度も。
ため息をつくたびに、はりきっていた気持ちがしぼんでいくようでした。
でも !!
「お役にたてること、ありますか?」という声がしたのです。
小さな女の子が、風船のひもをつんつんと引っぱっていました。
その女の子が、チコちゃんだったのですよ。
風船はチコちゃんに手伝ってもらって、ドコノモリへ入っていきました。
そして、今もドコノモリで暮らしています。
風船は風船であることをやめて、プーニャになりました。
そう!プーニャは昔、風船だったのです。
これからドコノモリの仲間たちのおはなしをしましょうね。
「ドコノモリの仲間たち」 第一回
2013.03.23