落ちるものが そっと落ちるようにと
やさしく 受けとめる手がある
それは何と安心なことだろう
やさしく 受けとめる手がある
それは何と安心なことだろう
落ちるものが そっと落ちるようにと
やさしく受けとめる手があって
森はこのように幾層ものやわらかい
褥をこしらえる
或る日、ついに老木が
大地を揺るがして
その身を横たえる時も
やさしく受けとめる手は
幾百年にも積み重なった厚い褥を用意して
老木を涅槃へと導いていく
落ちるものが そっと落ちるためには
その身が 小さければ さらによい
何も持たずに 身ひとつで
空中に飛び出す木の葉のように
くるり ひらりと 回転して
あの大きな手の中に入っていこう
記憶の底の
大きな手の中に